2020年7月30日木曜日

Crass 「Nagasaki Nightmare」(1980) 和訳




Nagasaki Nightmare 
(長崎の悪夢)


(※鎮魂の鐘が鳴り響くなか、Aki Hayashi?による日本語ナレーション/同時に、女性ヴォーカルが英語でその説明を話す)

[1945年8月6日、日本の広島は人類最初の原爆、原子爆弾の被災地となりました。
その結果として、25万人もの人々の尊い生命が奪われたと伝えられています。
その3日後の8月9日には、長崎にも原子爆弾が投下され、6万人もの人々が亡くなりました。
現在どのくらいの人々が原子爆弾の後遺症で亡くなっているのかは把握出来ません。
原爆による死因の過半数は火傷であると伝えられています。
原子爆弾の投下地点から半径1/2マイル以内にいた人々はほとんど亡くなり、
生き残った人々の半数も数週間以内に放射線障害で亡くなりました。
長期にわたる放射線障害もまた悲劇をもたらしています。
白血病、放射線障害、発育不全、悪性の病気等は寿命を縮め、そして死に至らしめています。
放射能は風に乗って何百マイルもの広範囲に拡散され、
雨や雪に混じって土壌の中に堆積されていきます。
地球上で行なわれる原子爆弾の…]

…ジャアァァァァァァァァァァァァーン(銅鑼の音)




彼らはいつまでもあの空にいる
長崎の悪夢 長崎の悪夢
将軍の目に映る眩い光景
長崎の悪夢 長崎の悪夢
彼らは一度犯したことをまたしようとしている
我々に死の雨を降らせようとしている
長崎の悪夢 長崎の悪夢

子供たちを帝国水域で釣り上げる
長崎の悪夢 長崎の悪夢
息子たちと恋人たち 恋人たちと娘たち
長崎の悪夢 長崎の悪夢
枝垂桜に閃光が走る 
目をくらませるような閃光が
何も見えやしない
長崎の悪夢 長崎の悪夢

瀕死に陥った一人一人が静かに死んでいく
長崎の悪夢 長崎の悪夢
日出づる国の闇
長崎の悪夢 長崎の悪夢
教訓を学ぶのか?いいや なぜなら誰も気に掛けないだろう
お前の恐れを覆い隠すなんて簡単だからな
長崎の悪夢 長崎の悪夢


悪夢の中で 長崎の悪夢の中で 段々と死んでいく
そして それと共に生きている
そばに立ち寄り また繰り返すのか?
死の雨の悪夢

悪夢の中で 長崎の悪夢の中で 共に生きている
そして それと共に死んでいく
死の雨の悪夢がやってくる
悪夢 悪夢 悪夢の雨

人口の力 人口の傷
死の雨 死の雨
彼らはまた繰り返す 我々に死の雨を降らせる
死の雨 死の雨 死の雨
長崎の悪夢 長崎の悪夢
                    ・
                    ・ 
                    ・
(※鎮魂の鐘が約1分間響き続ける・・・。)





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(以下雑文)



長崎悪夢。1980年のEPに収録。

自分が原爆や戦争、そしてCrassについて興味を抱いたきっかけの曲でもあり、初めて自分で訳そうと思った英語の曲です。中学のときの思い出が甦ってきてかなりこっぱずかしい。


Cock Roachの原子爆弾万有引力考想曲を見つけたときと同じく、2ちゃんねるオカルト板の原爆に関する曲?怖い曲?を語ろうみたいなスレで紹介されていて初めて知ったのですが、そこからこれが収録されているBest Beforeを探すためDisk Unionに通いまくってようやく手に入れるのにけっこうかかった気がします。そんなもんだから、この曲を最初に聞いたときの衝撃は凄まじかった。


鎮魂の鐘が鳴るなかを、謎のナレーションが原爆に関する悲惨な情報を恐ろしく淡々と話していきます。お経に近い重苦しい雰囲気の次に繰り出される三味線?ギターのフリーキーさに一瞬笑ってしまいました。そして、素っ頓狂ともいえる甲高い声の女性メインボーカルに「ナガサキナイメア!ナガサキナイメア!」という男性コーラスが重なりあう、ある種異様な雰囲気は、かなりインパクトが強いものでした。

演奏のとっちらかりすぎたアバンギャルドさにはわずかばかりの狂気を感じると同時に、Crassがこの曲で伝えたかっただろう「日本、原爆、戦争」という主題がぐちゃぐちゃに捩じ込まれつつも強引に浮かび上がって耳にこびりつきます。音からして尋常のバンドではないことがわかると思います。

また、「You'll Ruin It For Everyone」、「Well Forked But Not Dead」、「Witham 1981(ブート)」などのCrassのライブ音源にこの曲の存在が確認できます。スタジオ版よりもテンポを早めた音はCrass流ハードコアを聞くことができ、非常にかっこいいです。歌詞の内容やその独自すぎる音とともに、Crassの代表曲だと言えると思います。


バンド自身がよく歌詞のなかに「Hiroshima」という単語を使うことからもわかるとおり、原爆を題材にとる作品では広島がクローズアップされがちです。こういったなかで、Crassには「Nagasaki Is Yesterday's Dog-End」(この曲の歌詞自体には直接長崎への言及はない)という曲があることも含めて、あえて長崎を題材にとった背景には何があるのでしょうか。

これには長崎原爆遺構として有名な浦上天主堂の存在は大きかったのではないでしょうか。単純に考えて、欧米で原爆について語られる文脈のなかの「被爆した教会が長崎にある」という話には強い印象を受ける人々が多いことは想像に難くなく、それはCrassのメンバーであっても同じはずです。しかも「ジーザスアレルギー」といってもいいほどキリスト教憎しを露骨に表現していたCrassにとっては、原爆ドームよりも、自らの国の(忌むべき)文化とルーツがつながる建造物が被爆したという事実に引き寄せられた部分は強いのではないかと考えています。

この浦上天主堂、戦後負の遺産として保存する声が沸き上がるなかで、アメリカの意向を受けたであろう司教や市長らの働きで一度解体された話があるなど、なんともきな臭い話があるのですね。平和を謳う戦勝国の偽善さが浮き彫りになる話です。



また勝手に自分語りに戻るのですが、中学校の頃の給食のときに、放送委員を騙して匿名でこの曲やReality Asylumなどを流したところ、「なんだこの気持ち悪い曲は?!」と問題になったりしてました。完全に放送事故。英語の先生にぶち切れられたなあ。「ホルモンとかバンプ流そうぜ~CD貸すから」って嘘ついてごめん。またその頃の自由学習で「原爆について歌った曲」をまとめてレポートにした記憶もあります。そのくらい、このCrassというバンドならびにNagasaki Nightmareという曲の存在は自分にとって大きかったんだと思います。



最後になりますが、冒頭の日本語ナレーションのAki Hayashiが長年の謎なんですが、当時の日本の原爆ドキュメンタリーなどから拝借したものだったりするのでしょうか?マイルという単位をわざわざ日本語で言わせてるということは、Crassの近しい友人の日本語話者に頼んだとか?自分は広島の平和記念館の学芸員さんにいきなり聞いたこともあるのですが、2人くらいがそのとき調べてくれてしかしわからずだったのです。もし情報を知っている方がいればぜひ教えていただきたいです。



2020年7月26日日曜日

NOMEANSNO 4th album 「Wrong」(1989) 全曲和訳

1, Its Catching up / 追いつかれた

ニュースを聞いたか?
死体が歩いてるんだとよ...

あの音が聞こえるか?
あの音が聞こえるか?
指が地下を引っかくようなあの音を
あの音が聞こえるか?
ドアが閉まるあの音を?
自分の人生の全てと闘ってきたが
もう二度と闘えない

追いつかれた、なんてことだ
もうだめだ、おしまいだ

お前が見つけた何かから、どうやってお前は隠れたんだ?

あの音が聞こえるか?
引っかくようなあの音を
失われるか、見つけられるか、どっちが良いんだ?
お前は無視できない
喋れない
酒が飲めない
犯すことができない

追いつかれた、なんてことだ
もうだめだ、おしまいだ

牢獄がほしい、中に入れさせてくれ
俺はきちがい、お前がただ一人の目撃者

死なないなにかがある
本当は生きてるものも
俺は奴らを黙らして
ドアを閉める
だけど、もう、押しとどめることはできないんだ

追いつかれた、なんてことだ
もうだめだ、おしまいだ


2, The Tower /

真実の剣はもう一つの武器に過ぎない
あと一秒のために生かさせてくれ
私は女性を見た、彼女は花を抱えていた
血の赤色をしたバラの花束を
燃え盛る建築物から、男が彼の死に飛び移る
私は死のマンションの上に立っている
赤い墓ははるか頭上に

私は激怒する
空に向かってそびえる塔を見つめる
まばたきのしない赤い眼の下で

電波が曲り交差する
私はその上に立つ—失せろ!
頭上には黒いオベリスクと
私が背負う危機が
集めたんだ、私の心を引き裂いた心の幽霊を
見つけたんだ、置かれている全ての罠を
忘れたものの何もかもが
塔の下に

私は激怒する
空に向かってそびえる塔を見つめる
まばたきのしない赤い眼の下で

暴力は間近に
やったとしてもお前は馬鹿で
やらなくても—馬鹿だよ!
赤い眼をした、憎しみの暴君が
空から睨んでいる、とらわれの国
見逃すか、はずすべきだとしたら
世界中が消え去ってしまう
私は動かず、喋らず
重くて無慈悲な
コンクリートと鉄と、アンテナホイールの峰の下で

私は激怒する
空に向かってそびえる塔を見つめる
まばたきのしない赤い眼の下で


3, Brainless Wonder / 能無し思うに

昼飯が必要
今ほしい
昼飯が必要
俺のご飯はいつ?


4, Tired of Waiting / 待つのに疲れた

俺は疲れた、疲れた、待つのに疲れた

待つのに疲れた、ニュースを待つことに
待つのに疲れた、雲行きが良くなるのを待つことに
待つのに疲れた、お前の手紙を待つことに
待つのに疲れた、物事が良くなるのを待つことに

俺は疲れた、疲れた、待つのに疲れた

待つのに疲れた、電話を待つことに
待つのに疲れた、たった一人でここで待つことに
待つのに疲れた、新しいものを待つことに
待つのに疲れた、お前を待つことに

俺は疲れた、疲れた、待つのに疲れた

待つのに疲れた、並んで待つことに
待つのに疲れた、服が乾くのを待つことに
待つのに疲れた、このショーが始まるのを待つことに
俺は自分の船が入ってくるのを待つことに疲れたんだ
待つのに疲れた、バスを待つことに
待つのに疲れた、俺の靴が直るのを待つことに
待つのに疲れた、小切手を待つことに
待つのに疲れた、天候が変わるのを待つことに
待つのに疲れた、水が沸騰するのを待つことに
待つのに疲れた、絵が乾くのを待つことに
待つのに疲れた、サインを待つことに
待つのに疲れた、長い休暇を待つことに
待つのに疲れた、ダムが決壊するのを待つことに
待つのに疲れた、爆弾が落ちるのを待つことに
待つのに疲れた待つのに疲れた
終わりを待つことに疲れたんだ

俺は疲れた
好機を待つことと時間を潰すことは
紙一重だということに気付いたからね

どういう意味かわかるか?

疲れたってのが全てさ


5, Stocktaking / 棚卸し

欲しいものを手に入れてるか?
必要なものも手に入れてるか?
愛は神聖だって聞いたことあるけど
どこにも保障するなんて書かれてない

何が起こったか誰が決めるんだ?
誰が誰のために決めるんだ?
これは単なる狂った小さなゲームなのか?
それとも、ただの醜いちっぽけな戦争なのか?

お前はお決まりごとに病んで、疲れているのか?
それとも幸せ過ぎるの?
いつそんなに小さくなるの?
いつそんだけ余計になるの?
いつそんなに小さくなるの?
いつそんだけ余計になるの?


6, The End of All Things / 万事の終わり

お前だ
私だ
恐怖
恐怖に閉ざされる
我々だ
ここは何も見えない

全てが晴れた
水晶の輝き
恐怖
全てここに
痛みと恐れ
ここは何も見えない

天使が歌うのを聞くんだ
これが万事の終わり


7, Big Dick / 巨根

動物園の猿みたいに
お前は半分ゴリラ
それを手で激しくして
本当に硬くさせようとするときが
でっかい肉棒
失敗を覆い隠そうとして
お前の血はぶちまけられる
だからお前はそれをワインに浸して
困ったサインを作るのさ
おっきいモノ

巨根!はやくイッチャウ
巨根!はやくイッチャウ

お前は木に駆け上がる
叫ぼうとはしないけど
胸を叩きまくる
おっきな肉竿
お前がこぼした血の川は
泥水に変わったぞ
今はハエがブンブン飛び回ってる
うるさくさせんなよ

巨根!はやくイッチャウ
巨根!はやくイッチャウ

長くないよ
ダメでちっちゃいモノが過ぎ去るのは
長くないよ
ダメでちっちゃいモノが過ぎ去るのは

いまみんな火の周りに座ってるけど
父さんは疲れてる
悪酔いしたからね
彼のモノは疲れちゃったみたいだ
大きい肉芯

巨根!はやくイッチャウ
巨根!はやくイッチャウ


8, Two Lips,Two Lungs and One Tongue / 二つの唇と二つの肺、一つの舌

彼は挑戦し続けてた
彼は挑戦し続けてた
だけど彼にはわからなかった
なんで自分が泣くのを止められないのかを

どんなにたくさんの歌でも
二つの唇と二つの肺、一つの舌で歌われているに過ぎない

彼女は祈り続けた
彼女は祈り続けた
彼がわかってくれるように
彼女が言っていることを

どんなにたくさんの歌でも
二つの唇と二つの肺、一つの舌で歌われているに過ぎない

彼は夢を見続けていた
彼は夢を見続けていた
彼の考えていることが理解される日を

どんなにたくさんの歌でも
二つの唇と二つの肺、一つの舌で歌われているに過ぎない


9, Rags and Bones / ぼろきれと骨

キリストは十字架の上で結婚した
俺の親父は母さんと結婚した
そして俺は溝にある
シケモクと結婚する

ぼろきれと骨
みんな最後は一人なの?

白人よ、てめーは
ブルースをやり始めただけじゃねぇか
白人よ、てめーは
ブルースをやり始めただけじゃねぇか

ぼろきれと骨
みんな最後は一人なの?

獣が復活
全ての罪は許される
獣の腹の中で
俺は解き放たれよう
彼女が昇ったよ!キャプテン!
キャプテン!飛び込め!飛び込め!

もし俺が信じること、あるいは信じないことを
選べたとしても
俺が信じないことを選ぶのをお前は知っているな
もし俺が信じること、あるいは信じないことを
選べたとしても
俺が信じないことを選ぶのをお前は知っているな

ぼろきれと骨
みんな最後は一人なの?

俺が深遠な青い海の航海者になるなんてことを
だれが考えてるんだ?

どんなぼろきれと骨でも?

10, Oh No!Bruno! / なんてこったい!ブルーノ!

もっと徹夜しすぎろ
しすぎだけど、大丈夫
無駄にやれ、やれ
余計に、今一度やるんだ

過剰に、スタイニーズのために遊びまくれ
無駄に、金のために遊びまくれ
もっと、企むか黙るんだ
余りでも充分じゃないんだ
なんてこったい!ブルーノ!
余計でも充分じゃない

過剰に、ナイトクラブで強盗しまくれ
無駄に、酒のキャンペーンをやれ
もっと、急所に当てろ
余計に、もう一回やってみろ

もっと徹夜しすぎろ
しすぎだけど、大丈夫
余計に、でかい奴
余計でも充分じゃない

なんてこったい!ブルーノ!
余計でも充分じゃない

過剰に、逃げ場無し
余計に、お前は枠にはめられ
無駄に、警官が叩いているよ
もう、もうだめだ!

なんてこったい!ブルーノ!
余計でも充分じゃない

10...6のための20...6のための30...
おまえはくそだ!行っちまえ!

なんてこったい!ブルーノ!
無駄に、余計に、無性に、過剰に

11, All Lies / 全部嘘

嘘は、俺が使う言葉
お前が希望に上を見上げた時の
みんなが感じてるものの全ては
まやかしで、空想で
何が終わり?
俺がうそぶいた愛なのか?
呼んでいる、呼んでいる
そして俺は落ちていく、落ちていく
彼女は言う、私を祈って、祈ってよ
お前の見た全ての愛は、俺から来たものなんだよ
彼女は言う、私を祈って、祈ってよ
お前の見た全ての愛は、俺に帰ってくるんだよ
彼女は言う、わかった、わかった、わかった、わかった
彼女は言う、私を祈って、祈ってよ
祈って、祈ってよ、だけどそれは

全部嘘だったんだ、嘘八百さ、それは全部嘘さ
お前は失せて死ねよ
全部嘘だったんだ、嘘八百
それは全部嘘

嘘は、俺を照らしているお前の瞳のなかの
光と希望さ
俺の手と君の鎖を結びつけてくれよ
俺を自由にしてくれるはずさ
俺は歌っている、歌っている
そしてそれにしがみついている
俺が見た言葉は
俺を引きずりまわすだけ
そして俺は言う、俺を祈れ、祈るんだ
お前の見た全ての愛は、俺から来たものなんだよ
俺は言う、俺を祈れ、祈るんだ
お前の見た全ての愛は、俺に帰ってくるんだよ
俺は言う、わかった、わかった、わかった、わかった
俺は言う、俺を祈れ、祈るんだ
祈れ、祈れ、だけど

全部嘘だったんだ...

嘘は俺をお前のところに引っ張り出した
希望と鎖
希望と鎖の全ては
喜んでお前と共有しよう

雨が降る、注がれる
老人がいびきをかいている
雨が降る、注がれる
そして俺は落ちていく、落ちていく
彼は言う、俺を祈って、祈ってくれ
お前の見た全ての愛は、俺から来たものなんだよ
彼は言う、俺を祈って、祈ってくれ
お前の見た全ての愛は、俺に帰ってくるんだよ
彼は言う、わかった、わかった、わかった、わかった
彼は言う、私を祈って、祈ってくれ
祈って、祈ってくれ、だけどそれは

全部嘘だったんだ...

12, Life in Hell / 生き地獄

腫れた女性の中の愚かな女の子
君の乳房のためのなまくら刀だよ
握手するための悪魔の手だよ
他がどうしようとしてるか観察するんだ

地獄
生き地獄

君の恋愛傾向によって
彼を構えさせてしまった
君の内なる太陽の子宮頚部の上で
彼の起立した銃を仕込むんだ

地獄
生き地獄

君は痛みを判別できないのかい?
赤い爪に赤っ恥

女、一つの完全な世界
君の心臓は起きていて、心は眠ってる
狡賢い日に焼けた蛇のねぐらを作るために
君は内なる太陽を散らばせる

どっちが強く燃えるかな?
俺には言えない
輝く太陽?
地獄の火?

地獄
生き地獄

13, I am Wrong / 俺は間違い

俺は何を知っているのか知っている
俺はヒーローじゃない
はいと言え、いいえと言え
来るな、近寄るな
間違い

強くなれ、強くなれ
全部間違うな
待つな戸惑うな
気をつけろ、気をつけろ
間違い

俺は間違い

最高の気分だ、祝おうじゃないか
晴れた日だよ、踊って遊ぼう
恐れるな、愛はここに
恐れるな、愛は...

まっすぐに、嘘をつくな
言うな、なぜなのか言うな
俺は何を知っているのか知っている
俺はヒーローじゃない
間違い

俺は間違い

最高の気分だ、祝おうじゃないか
晴れた日だよ、踊って遊ぼう
恐れるな、愛はここに
恐れるな、愛は間違い...

俺の応接間に踏み込んで
クモに飛べと言う
みんな愛を共有できた
死ぬことのない愛を

俺は何を知っているのか知っている
俺はヒーローじゃない
待つな戸惑うな
強く
間違いへ

俺は間違い

「二つの正解は間違いを作る」

2020年7月17日金曜日

NOMEANSNO 3rd album 「The Day Everything Became Isolated And Destroyed」(1988) 全曲和訳

1, The Day Everything Became Nothing / 全てが無になる日

全てが無になる日
俺は街灯の下で、タバコが欲しいなんていって立っていた
普通じゃないことについて何も思い出せない
なにかの気配がしたり
空が雲で覆われても
俺は気付かなかった
退屈すぎて気に掛けられなかった
稲妻は走らず
雷は落ちない
空からはなんのミサイルも降ってきやしなかった
奇襲ではないよ
ただ突然のひどい欠落さ
事は変わった
そのとおり

全てが無になる日
お前は、間違いを犯したことを指摘できなかった
路地はまだ汚く
ゴミは悪臭を放っていた
通りにはなんの狂騒もないし
ただ、たくさんの悲しみが
人々の顔に、目に
恐怖と全ての驚きとの混濁物となっていた
これは黙示なんかじゃない
誰も天からの声なんて聞いてないよ
セブンイレブンでの奇跡なんてないし
誰も叫ばず
誰も問い掛けなかった
単にみんなが何故か、静かに死んでいってるだけさ
そうだ、死なせてやれ!

次に起きたことなんて思い出せない
俺は、知人の女のところへ行く道中だった
一緒にしたことは、最高のセックス
だけど、今は彼女の住所も思い出せやしない
俺らは、ただの流れ者の集まりだが
寄り合って、この問題を話し合う委員会を作っていた
みんなで、確かにあった共倒れや情動反応のような物事について話し合っていた
自分の名前が思い出せないから
ボブって呼ぶことにする
変な感じのボブの成り方だけど
俺は以前この名前を使っていたようだ
だからそうしなければ


2, Dead Souls / 死人

死人だ、死人だ
奴らがやってくる、俺は知ってるぞ

死人だ、死人だ
奴らは俺の魂を求めている

死人だ、死人だ
奴らは俺を見つけ出す、わかってるよ

死人だ、死人だ
奴らは食べること必要としている

死人だ、死人だ
奴らは俺を見つけ出す、わかってるさ
知ってるよ
わかってるさ
死人だ、死人だ
死人だ、死人だ


3, Forget Your Life / お前の人生なんか忘れろ

今、もしも
君が
何も
何も、誰も
感じないというのなら

そして、もしも
君が
何も
何も、誰も
見ないのなら

お前の人生なんか忘れろ
何も無いさ

今、もしも
君が
すくみあがって、中に縮こまったとしても
沈黙するだろう

誰にも何もない

そして、もしも
君が
泣いて
けど沈黙するのなら

誰にも何もない

お前の人生なんか忘れろ
何も無いさ

お前は隠れている
なんで隠れるんだ
何も無いぞ

お前は恐れている

何も無いところから何を恐れているんだ

お前の人生なんか忘れろ

何も無いさ

忘れちまえ


4, Beauty And The Beast / 美女と野獣

美人は瞳で嘘をつく
嘘をつくその瞳を見よ
もし美人が瞳で嘘をつくなら
獣よ、その目を見るのだ
お前、お前は美しい
お前、お前は美しい
美人はしゃべり、嘘をつく
美人は内なる獣を呼び覚ます
美人が歩くさまが目の保養
獣よ、瞳を見るのだ
お前、お前は美しい
お前、お前は美しい

美人は気取って、見せびらかす
眼球がそれを望んでいるから
美人には見込みがない
獣の瞳を見るのだ
その飢えた目は美人の体を見ている
その燃え盛る目は美人の体を見ている
その燃え盛る目は、邪悪で好色
邪悪で好色、邪悪で好色、邪悪で好色
その瞳を見よ


5, Brother Rat/What Slayde Says / ネズミの兄弟 /スレイドの言ったこと

Brother Rat

外へ出て、モノを見よう
外へ出て、モノを見よう
君と僕で、君と僕だけで
そこにはもうほかの兄弟は
兄弟はいないよ

少しぱくついて、人生を語ろう
少しぱくついて、人生を語ろう
そして、何が正しいんだ、何が正しいんだ
人生を語って、何が正しいか話す
そこにはもう他の
兄弟も、相棒も、仲間も、同志も、友達も、
相棒も、仲間も、同志も、友達もいないんだ
終りが来るまで
手を叩いて、祝うんだ
手を叩いて、祝うんだ
背中にナイフが、背中にナイフが
そこにはもうほかの兄弟はいないよ
同じだよ、君も僕も
同じだよ、君も僕も
兄弟さ、戦友さ
終りが来るまで、友達さ
兄弟さ、戦友さ
終りまで
君の終りまで
ネズミの兄弟

What Slayde Says

スレイドは俺の相棒で仲間、彼は僕の兄弟さ
僕は一人だけで、彼は別物さ
太陽が輝けば、彼は僕の影になる
月が昇れば、それは僕のひざまづく彼の足もとへ
だけど、僕はスレイドの言ったことを聞いたことがないんだ

スレイドはいつも話していて、とても上手なんだ
彼はいつもその毒のある忠告を囁くのさ
彼は秘密主義で、無慈悲で冷酷
過不足ありげに物事に触れて、話してないことはそのままにしているんだ
彼は言った「最初の一撃に賭けちゃならない、彼らの顔に微笑みかけて、そして寝首を掻くんだ。」
だけどスレイド、言うよ、弱さや、無力、卑小さについてはどう思うの?
彼は嘲って言った「くそくらえ、全部くそくらえ」

彼は僕を殺人者だという、誰も殺していないのに
スレイド、君は難解にモノを言うけど、本当は何をしてきたの?
「俺は紐を切って、コキジバトを撃った。
 俺は、頭上で輝く貴重な光を遮った」
スレイド、君は詩人さ
だけど、本当はなんて言ってるの?
彼は笑って囁いた、「俺は愛を殺した」
彼は笑って囁いた、「俺は愛を殺した」

僕は彼を憎んでいるのか、いや、そんなの事実じゃない
彼は完全に悪い奴じゃない、たまに彼はジョークの一つや二つとばすんだ
僕はもう彼のこっけいなやり方に慣れてしまったのだろう
彼がそんなふうになってしまったのは過ちじゃない

僕は眠りの中で彼を聞き、夢の中で彼を見る
彼が恐ろしい機械の前でうずくまってるのが見える
そして、僕は鏡と対面して、彼はその間に歩み寄る
言えるのか、これが何を意味してるのか?
言えるのか、これが何を意味してるのか?

僕は眠りに横たわってるんじゃなくて
神に僕の魂が生き続けるよう祈ってるんだ
もし起きる前に死んだほうがいいなら
僕が逃げ道を作ろうとするのは君も承知のとおりだろう
だけど、そこには踏み越えていない一線があるんだ
スレイドの言ったことを聞いたことがないんだ...


6, Dark Ages / 暗黒の時代

俺たちは、暗黒の時代に生きているんだ
この時代では日の光を見たことがない
すべての情報はかなたに封印されている
周りは囲まれて、シリコンを浴びて

俺たちは煮え来る夢とともに早く寝てしまう
すべてがおぼろげなのに、まだ息を吸っている
だけど、彼は暗闇の中、俺を無価値で空虚なものにした
だけど、彼は暗闇の中、俺は自分が妄想狂だと思う

半分真実の世界で、なにが喋れなくなるというのだろう
連絡手段は剥ぎ取られ、壊され
暗闇は手が凍えるほど冷たい
けど、この凍結は不思議と心地よいんだ

自己顕示欲の強い奴は整形手術を受け
退屈な会社員はみんな夜まで働き
不良は恐ろしく見える
その間も、メディアは力を持ち続けている

西方の仲間が気付いた時にはもう遅く
自由人は自由に征服をしていく
強大な影の下、9時から5時の勤務時間の下で
いまだに自己を消し去ることが俺達を生き永らえさせる

俺たちは、暗黒の時代に生きているんだ
この時代では日の光を見たことがない
すべての情報はかなたに封印されている
周りは囲まれて、シリコンを浴びて

俺は知らない

もう寝るんだ


7, Junk / クズ

自分のものは正しい場所に置いたんだと彼は考えていた
すべてのものは名前を、場所を持っていたが
今ではそんなものが周りに大量にあって
地面に目を向けても
何も見ることはできない
そう、君はおそらく自分にこう言うだろう
「彼らがどこかに埋めてしまったんだ」とね

待って、待ってくれ、頼むから待ってくれ
君の首を、折って、伸ばして、捻るだけだから
(だけど壊しちゃいけないよ)
君の上を、上を見てみろよ
僕たちの頭上はゴミで、下は地面
僕たちの頭上はゴミで、下は地面
そして、毎日、毎時間、毎分、毎秒
僕たちは、這って、這って、這って、落ちて
もっと、もっと、もっと、もっと
それはクズさ


8, And That's Sad / 悲しいことだ

いらいらしないほうがいいみたいだ
我々はどうなるのだろうか
しないほうがいい
悲しいことだ

きつく抱かなければならない
すべての力をもってして
すべての力を
悲しいことだ

君がすべきことを要求しよう
品性の名の下に
君は私に同じことをするのか
悲しいことだ


9, Small Parts Isolated And Destroyed / 脇役は孤立して破壊される

前から言われてきたことだけど、もう一回僕が言ってやる
騙されたかのように感じてはいないかい?
それは君の喉に突っ込まれ、君はそれを飲み込み
彼らはそれを真実だと言い、君は信じる

脇役は孤立して破壊される
でっかい奴が彼らのおもちゃで遊んでるのを見てみろよ
もうしないだろうことが一つあるんだ
君を信じることさ

聞いたことがあるんだ
全ての神の子は燃やされるって
もしそんなことが僕や君に降りかかったら
僕がそれを選ぶなんてことを考える奴はいるのか?
配分は、当日券の半分?
そう、さあさあ入って、もっと入って
君はなんて言うんだい、保障を得たなんて言うの?
そんなら御破算さ、君は僕にとって何の意味も持たない
甘いロマンスなんかじゃないぜ
だからなんでケツを降ろして踊ろうとしないんだよ?
「文句あるか?文句あるか?
 ただで乗ってもいいかい?ただで乗ってもいいかい?
 君は僕を知っている、覚えている
 ただで乗ってもいいかい?ただで乗ってもいいかい?」

入って!ただでいいから入って!
熱さは気にすんな、煙は気にすんな
そんなことで叫ぶのか?ただのジョークだよ
そんなことで叫ぶのか?違うよ、ただのジョークだって
入って!ただでいいから入って!

入って!僕のおごりさ!
僕へのジョークだよ

近づきすぎの虐待感にはもう疲れた
深まる議論に、俺はもう吐きたくなってくる
そして君ははるかにわずかにしか僕のことを見ようとはしない
僕は君が望むような仲間じゃないからね

みんなはグルーブのなか
ダンスフロアは埋まっていて
男女は二人でペアをつくる
(ヘイボーイ、君を犯したいよ)
(ヘイガール、君も犯したいよ)
君の口は酒臭くて、魔法が漂っているよ
みんな今は本当に互いをものにしようとしてる
これは全ての男や女に言える話さ
脇役は孤立して破壊される

もう遅いよベイビー
もう遅いんだ野郎よ
オーベイビー
オーベイビー

君は内側を叩かれ、引っ叩かれ
これが君の人生で一番いいことさ
これが君の人生で一番いいことさ
俺は叩かれ死んでいく
(それともただのありふれた嘘?)
前から言われてきたことだけど、もう一回僕が言ってやるよ
騙されたかのように感じてはいないかい?
それは君の喉に突っ込まれ、君はそれを飲み込み
彼らはそれを真実だと言い、君は信じる
脇役は孤立して破壊されるのさ
おもちゃになるくらいなら死んだほうがましだよ
もう絶対しないよ
君を信じることなんて


10, Victory / 勝利

この旅路に出発しようとしたら
終りが来ないように思えた
この道を下ろうとしたら
終りを見ることはできなかった
それに、最初の一歩を踏み出すと
深みを感じてしまった
苦しくも勝ち得たすべてのものを
これからも守っていかなければ

今、俺が何を見ているかわかるか
目の前の壁のように突っ立ちながら
敗北、勝利じゃない
敗北、勝利じゃない
敗北、勝利じゃない

だから君は何をするんだ?死ぬのか?
違うだろ
ぶっ倒れて死ぬのか?
違うだろ
俺は敗北を許さない
俺は敗北を許さない
俺は勝利を見るんだ

意地と欺きが
雑草みたいな俺の人生の首を絞めているんだ
俺が本当に持っていたもの
必要としていたもの
そして、価値があるとみなすべき全てのものがなにか
見えなくなってしまった
祈りと歌に渡してしまった
手を差し伸べようとしたら
彼らはもう行ってしまった

今、俺が何を見ているかわかるだろう
俺の目の前に立ちながら
墓石のように
人間の悲しみに送る馬鹿げた石碑
敗北、勝利じゃない
敗北、勝利じゃない
敗北、勝利じゃない

俺に友達なんているのか?
わからない
ここに俺の友達なんているのか?
俺にはわからない
君は?
俺の友達になってくれる?
ねぇ君は?
俺の友達になってくれるのかい?

君に問いたいことがあるし
君もそれについて僕を問いただせる
簡単な注文だ
それに、君も同じことができる

俺を許せるのか?

どうなるかが見えるのか?
それは勝利?

俺の見てきたもの全てを君に見せることはできない
なにかを感じせてやることもできない
彼らが俺に対して何を意味するのかも明らかじゃない
そしていつか俺は知るだろう
どんなに頑張っても
みんないつかは倒れて死んでしまうってことを
だから、君に言ったほうが良いみたいだ
俺が何を望み、何を信じているかを
全ての敗北の中に、勝利があるのだ
全ての敗北の中に、勝利があるのだ
敗北における
勝利


11, Teresa, Give Me That Knife / テレサ、あのナイフをくれ

わかったぞ
俺がどう思ってるか想像できるか
今わかったぞ
俺の全人生のことを
今わかったぞ
俺の糞みたいな人生のことが

テレサ、何のために死んだんだ?
何のために死んだんだ?
何のために死んだんだよテレサ?
何のために死んだんだ?

テレサ、あのナイフをくれ
ナイフをくれ
テレサ、ナイフをくれ
ナイフをくれ
テレサ

俺のことを想像できるのか?
ここさ
俺はほとんどこっちさ
俺はほとんどこっちさ
俺はほとんどこっちさ

テレサ、ナイフをくれ
テレサ、ナイフをくれ
テレサ、ナイフをくれ
テレサ


12, Real Love / 本当の愛

本当の愛は恐ろしい
それが君を見ていたら隠れようとするだろう
それがどうなるかわからないであろう
真実の愛じゃない
真実の愛じゃない

本当の愛は、長い石畳のベッドだって、彼が言っていた
彼の顔は冷淡な表情
僕や君のことを気に掛けたりなんかしない
真実の愛じゃない
真実の愛じゃない

晴れの日の本当の愛は
電柱の上のカラス
何か言いたげな
君は、誰かが自分の墓を訪れるように感じた
それが真実の愛さ
それが真実の愛さ

愛の誉れ
愛の誉れ
それは貴重な雨で
天上から降ってくる
最初の静かなざわめきが
心臓から聞こえてくる
偉大なる風が
君を吹き分けていく
それが真実の愛さ
それが真実の愛さ

亡霊のように君をすり抜けていく
君が通り抜けられた時に
魂は生き続けるのだ
君ができることは何もない
木々を抜ける風
濡れた葉の匂い
過ぎさっていくトラックの喧騒
血の条痕
僕が君にしてきたことを許してくれ、おねがいだ
これから私がすることを許してください、我が主よ
かの名のもとに・・・

本当の愛は恐ろしい
それが君を見ていたら隠れようとするだろう
それがどうなるかわからないであろう
僕や君を気に掛けたりなんかしない
真実の愛のために君ができることなんかない

とにかく、これがカラスが言っていたのを僕が聞いたことさ
だけど、だれがカラスが言ったことなんかを気に掛けるんだろうか
特に、なにか、なにかについて
まったく個人的なことについて

君は感じることができる?
顔に当たるあの風を、君は感じられる?
君は跪いて祈ることができる
けど、君がすることや言うことが
それを立ち去らせることなんかない

雷や稲妻のような
君の僕の愛し方
君の僕の愛し方
君の僕の愛し方
怖いよ


13, Lonely / 孤独

独りきりになるのはよしたほうが良いと君は言う
いい忠告だ
僕はハミングしながら、緊張をほぐしていく
孤独だから

みんなが僕を良いように見てくれるけど
見ることのできるものが僕は怖いんだ
その優れた意思と誠実さは
馬鹿さ加減を取り戻せない

全てが話され、なされたとき
君はそれを知るか、落ちていくだろう
浅く雨が溜まった穴の中へと
全ての偽善者とともに

君は悪くもないし、良くもない
木材の塊だ
君は目を持っているが、見ることはできない
なぜ僕は君の集まりを嫌うのか

僕は孤独

人々が行ったり来たり
彼らは自分たちを少しでも誇示していく
彼らの笑うのを、泣くのを見るんだ
ちっぽけな嘘の中を生きる彼らを見るんだ
僕は君と一緒に孤独
そして僕は嘘をついている
僕は君と一緒に孤独
そして君は嘘をついている
なんてことだ、みんな嘘つきじゃないか
そのとおり、全部真実さ

僕は君と一緒に孤独
僕は孤独
孤独