2020年8月24日月曜日

Crass 「Systematic Death」(1981) 和訳






Systematic Death (組織的な死)



システム、システム、システム、
人生における死
システム、システム、システム、
外科医のナイフが
システム、システム、システム、
コードを切りつけて
システム、システム、システム、
子供が生まれる

貧相な馬鹿者、貧相な子ども
人生のことを求めてはいけない
彼女はまだなんだから
無力な赤ん坊、小さい子ども
彼女の両親が喧嘩をしながら
食物を求めて泣きわめく


システム、システム、システム、
彼を学校へ送り
システム、システム、システム、
這うように強制させる
システム、システム、システム、
彼にだまし方を教え
システム、システム、システム、
足で蹴落とす

不幸な生徒、不幸な若者
彼が良い子だったら頭をなでて
悪い子だったらひっぱたく
かわいそうなちびっこ、かわいそうな奴
役に立たない戯言で
彼を強制的に育て上げる


システム、システム、システム、
彼女に料理の仕方を教え
システム、システム、システム、
着飾り方を教える
システム、システム、システム、
彼女にすべてのごまかしを教え
システム、システム、システム、
脂ぎったぺニスの為に犠牲をつくる

少女らしさ、女の子
つついて摘まむもの
可愛い娘、小娘
彼女の精神を犯すことで
彼女を馬鹿みたいに犯すことができる


システム、システム、システム、
彼は大人に育て上げられ
システム、システム、システム、
計画を合わせるように教える
システム、システム、システム、
40年にも及ぶ仕事
システム、システム、システム、
ボタンを押して、ドアを開ける

労働者、農奴
自らの価値の半分を得る為にラバみたいに働く
汚職者、紳士
既に使ってしまった給料の為に働く


彼は自分の人生を売り
彼女は彼の忠実なる妻となった
ねずみのような臆病さで
彼女は自分へのささやかな家を手に入れ
彼は小さな車を手に入れた
そして、お互いに晩酌を共有した
彼女は彼のご飯を作るのが好きだ
そう、それが彼女のアピールなのだ
彼は時々遅くまで働くので
夕食は手をつかぬまま
けれども彼女はあまり気に掛けない
彼が残業をしているからだ
彼はまさかのときの為に小銭をためるのが好きだ
毎回わずかな額でも生活費になるからだ
彼らは毎週賭けに耽り
幸せな休日を望む
それで余裕もなく千手を尽くすことで
外国へ旅行に行った
彼女は毛皮のコートが
彼は大きな車が好きだった
彼ら夫婦は飾りのジョージア式ドアの付いたバンガローを買うことができた
彼は退社のことについて考えたかもしれない
しかし彼は仕事を怠らないだろう
彼はこの誠実な日々を過ごし
手に入れていくことを強く望んでいる
先取りすることに人生が捕らわれているのだ
死人に休息なんか無い
彼女は成功するように励み
彼は1,2回 “ありがとう” と言った


システム、システム、システム、
いくらかの望みを奪っていき
システム、システム、システム、
彼らに対抗できないと教える
システム、システム、システム、
最初から奴隷
システム、システム、システム、
死が2人を分かつまで

馬鹿な人たち、哀れな夫婦
彼らの人生は盗まれていたのだが
何も気にしていなかった
愛する人、そんなものただの庶民だ
システムとその残酷な冗談による犠牲


夫婦は幸せな家庭の残骸と夢を眺めていた
彼らはほぼすべてに担保を支払ってきたのだ
そのとき、システムはその爆弾を落とした





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 3rd「Penis Envy」(1981)収録。
特徴的なベースのリフと早口の女性ボーカルが先導する、一般庶民の夫婦の人生とそれを支配するシステムについて歌った曲。Crassの中でも、政治的な主張というよりかは幾分自分たちに近い範囲のことを歌った曲でもあり、日本人としても普遍的な部分が感じられる歌詞だと思います。


中間部の夫婦の日常を歌った部分は、どこで息継ぎしとるんやというほどの早口で歌われて、狂気すら感じます。また、Crassの音楽性の部分で唯一ピックアップされるところの多い、手数多く自由にうねりまくる個性的なベースラインを聞くことができます。


ライブ音源としてはブート「 Witham 1981 」で聞くことができ、あの早口ボーカルがライブでも再現されていて鬼気迫ります。やはりこれも名曲です。


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